レクリエーションとADLの関係

ADLとQOL

介護の質をよくしていき、介護を受ける高齢者の方や脳卒中などによって後遺症を残してしまった人に満足のいく介護を提供していくためには、ADLの他にQOL(Quality Of Life:生活の質)という概念も押さえておかなければいけません。もっともこの言葉は日本語訳をするとその意味はわかりやすく、生活の質という言葉そのままになります。ただシンプルであるからこそ難しい点もあり、ADLであれば例えば歩けているのかどうかや自力で起き上がることができるかどうかなど周囲からも簡単にその程度がわかりますし、FIMのような評価方法も発達しています。しかし、QOLに関してはかなり主観的な問題であり、周囲からそのレベルを判定することができません。端から見れば困窮しているように見えても当人が自分の生活に満足感を感じられている場合がありますし、当然その逆に裕福そうな生活を営んでいても満足感を感じられていない人というのも存在します。 このように測定が難しQOLですが、それでも介護を受ける人1人1人がその生活や人生の内容に満足感を覚え、人間らしい時間を過ごすことができるのかどうかが重要なテーマであり、介護の現場やそれを取り巻く人たちの間で尊重されるべき概念と言えるでしょう。 そして介護の現場においてQOLを高め、さらにはADLまでも高めてしまう効果があるとして期待されているものに介護レクリエーションというものがあります。介護レクリエーションはその名の通り介護の現場で提供されるレクリエーションで、その種類は限定されません。介護施設に入所するみんなで温泉のような施設に行くこともあれば、小学校時代に経験したようなレクリエーションゲームを行うようなこともあります。

レクリエーションの意味と意義

そもそもですがレクリエーションという言葉はその語源をたどると、re-creationという言葉に行き着きます。これは再びという意味のreと創造を意味するcreationを組み合わせ生まれた言葉で、文字通りに訳すと再創造と言えるでしょう。つまりは壊れたり傷んだりしたものを回復させる、作り直すという意味であり、疲労を回復して元気になる行為や人間関係の修復、また生きる元気や喜び、目的を作り直す行為になります。 こうしたレクリエーションという言葉の定義に遡れば、介護の現場におけるレクリエーションの意義は明確です。病気や加齢などの理由で身体能力を失い、精神的に大きなショックを受けてしまっている方々に対して新しい喜びや楽しみを提供することで人生に意義を感じなおしてもらう行為です。またレクリエーションという楽しく取り組めることの中にリハビリ的な要素を入れることで、ADLを回復させるものでもあります。